第1部 顔の見える作り手たち(1) 福田敏雄・伏見眞樹・仁城義勝
高森 福田さんが輪島の海に潜って採ったワカメで作ったチギリメや、隣の山から採ってきて奥さんが茹でて送ってくださった筍を、私が輪島の出汁や調味料を使って前の晩に煮たりして……。なにしろ家庭的なことをやりたかったので、「スペースたかもり」で初めてテーブルを囲んでご飯を食べたんです。それまではギャラリー内で食べることをしたくなかったんですけど、これはやらねばしようがないと思って。それ以来、飯椀を買いに来てくださる人がとても増えました。 小川 そうなんですか。僕は、漆の入門アイテムってやはり四寸汁椀だと思ってる。聞かれたらそう答えてるしね。 高森 私も同感。でも、ご飯に漆の器もいいですよ。少なくとも私のところに飯椀を探しにいらっしゃる方たちが増えたり、いろんな作り手さんの個展でも「ご飯を食べるとしたらどのお椀がいいでしょう」と尋ねられるようになってきたきっかけは、福田さんの最初の個展だったと思っています。 小川 2002年の初めての個展の時からなんですね。 高森 はい。それから意識して文章にも書くようになった。だから本を読んで欲しいという方たちもいらして……。 小川 福田さんの作る器は、ジーンズ感覚といったらいいんじゃないかなぁ。僕なりに最高に誉めているんですが……。 ・ ・ ・ ・ ・ |