対談
 第1部 顔の見える作り手たち(1)
 第2部 顔の見える作り手たち(2)
 第3部 輪島の作り手たち
 第4部 使い手たちからの素朴な質問
 第5部 私好み[高森寛子篇]
 第6部 私好み[小川マア篇]
 
写真
 Part 1 二人が考える普段使い
 Part 2 うるしの器・目のつけどころ
 Part 3 私好み[高森寛子]
 Part 4 私好み[小川マア]
 
漆の器の作り手紹介
 
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 レクチャー
 
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第5部 私好み[高森寛子篇]
 
[小田原延子]
 
小川 高森さんはあまり蒔絵には関心がないですよね。
高森 そう、基本的に「普段使いは無地が一番」と思っていますから。
小川 普段使いにも加飾の器は悪くないと思いますよ、僕は。センスのいい器が少ないから選びにくいだけで。
高森 確かにそうですよね。その時は小田原さんに「触ってみて」と言われて、「こんな立派なものを触っていいか」と少々怖じ気づいたんだけど、内心「素晴らしい」と思った。ただし、どれもこれも自分の日常に入ってくるようなものではなかったんです。でも、漆だからこそできる蒔絵の素晴らしさを再認識させてもらった。無地のぬりものばかりが暮らしの中にある私が、小田原延子さんや山口浩美さんに出会ったことで、蒔絵という古くて新しい世界へ目を向けるようになったとも言えますね。
小川 高森さんにとっては大きなターニングポイントですね。それで、小田原さんの蒔絵を買ったの?
高森 そんなに簡単に言わないでくださいよ(笑)。でも、結局は買ってしまった。まず、この片口と同じ形の黒い無地ものを見せていただいたんです。別のなにかに星座が描かれていたものがありました。即座に「黒い片口に金の星座だ!」と思った。でもお財布との相談もあるし……。最後の最後に一大決心をしました。星座の絵柄の細かいことはわからないから、無地に近い感覚で使えるようなものということだけ言って、後はお任せしました。