第3部 輪島の作り手たち
高森 あれはもう誰も塗らないのかしら? 小川 詳しいことはわかりませんが、鵜島さんみたいには塗れないですよ。ああいうふうに力強く、こってりとは。そこが魅力なんだから。 高森 一見すると、こんなに太いと使いづらいんじゃないかと思う。でも、使ってみるとこの太さ加減が絶妙なんですね。すぐに虜になります。デコボコしたラフな塗りで親しみやすい。どちらかというと、端正で美しい、というものではありませんが。 小川 えーっ! 美しいんですよぉ。 高森 あの太い箸は、「スペースたかもり」のスタッフたちが使ってみて驚き納得してから、みなさんへのご紹介を始めました。惚れ込んで説明するから、すぐ売り切れる。リピーターも沢山いらっしゃいました。鵜島さんは、一膳ずつきれいに包装するんじゃなく全部まとめてガバッと送ってくださるんですよ。くるくるっと簡単に紙と梱包材で巻いてあるだけ。そんな扱いを、漆のものはそれくらいに気軽に使ってほしいという鵜島さんなりのメッセージなんだと受け取っていました。 小川 きっと、そうでしょうね。「ギャラリーわいち」をみんなで旗揚げする時に、こういうキャッチフレーズがあるんですが、鵜島さんが考えたと聞いています。「うるしはともだち」というんです。なかなかいいでしょ! 漆ってそういう身近な存在だよ、って鵜島さんはいつも言いたかったと思います。 ・ ・ ・ ・ ・ |